【個別解説】地域診療情報連携推進費補助金(医療情報システムのクラウド化に伴う検討事業)

 国の令和7年度補正予算で実施される「地域診療情報連携推進費補助金(医療情報システムのクラウド化に伴う検討事業)」について紹介します。

 この補助金は令和7年度補正予算を繰り越して、令和8年度に実施されるものです。
 なお、記事執筆時点(令和8年5月12日)で既に公募が終わっています。(公募期間=令和8年4月1日から令和8年4月30日)

補助金の概要について

目的

 クラウドネイティブを基本とする電子カルテを導入することにより、病院における情報システム費用の低減及び将来的な費用上昇の抑制を図り、病院が限られた経営資源を医療提供に重点的に配分できる体制の整備を促進し、もって持続可能な医療提供体制の構築に資すること。

対象

 病院(医療法(昭和23年法律第205号)第1条の5第1項に規定する病院をいう。)
 ※診療所、いわゆるクリニックは対象外です。

補助額・補助対象経費

 補助額:5分の4以内(補助上限:100,000千円))
 補助対象経費:下表のとおり

【解説と補足情報】

 本補助金は、医療機関職場環境改善等事業費補助金(医療分野における業務効率化・職場環境改善支援事業)と同じく、世の中に遅れているとしばしば言われている医療分野においてのデジタル化を支援をするものです。
 補助額4/5で上限1億円ということで、全国の対象病院の中でも、経営が安定しているかつ大規模病院ではない病院を想定していると推察されます。大規模病院の電子カルテ導入には、オンプレミス前提ですが10億円以上の事業費が必要であり、クラウド前提であっても50~100ある部門システムの接続とクラウド型電子カルテの利用設定、利用料だけでも数億円は必要となることが予想でき、上限1億円としても補助率4/5である必要がないためです。

特徴

 1 「クラウドネイティブ型電子カルテ※」の導入もしくは、オンプレミス型電子カルテからの「クラウドネイティブ型電子カルテ」への更新を補助対象事業としている点

 政府は、医療のデジタル化を進める一方で、医療機関におけるデジタル化、運用経費の高騰を問題視しており、それに対応するため、オンプレミス型と比べて低い経費での利用を見込むことのできるクラウドネイティブ型の電子カルテの支援になっている。
  
 ※クラウドネイティブ型電子カルテ・・・医療機関内に設置されたサーバでのシステム運用を前提とせず、国が定める情報セキュリティ基準を満たしたパブリッククラウド環境で稼働することを前提に設計・開発・運用される電子カルテシステム

 2 対象経費の幅が広いこと

 クラウドネイティブ型電子カルテを利用するために必要であれば、パソコン、モニター、タブレットといった他の用途にも使えてしまいそうな一般的な物や、最大3年間の基本利用料、導入にかかるコンサルティング費用など、幅広い補助対象軽費です。これは、下記3の調査のため意識的に今回は広くしている可能性があります。

 3 事業の内容に「課題整理」を含む点

 公募要領の「事業の内容」に「課題整理」を含んでいます。これは、申請者側ではなく、政府、厚生労働省側の今後のクラウドネイティブ型電子カルテ導入支援についての課題整理です。補助金事業を通して、真に必要な経費の精査、医療機関の必要とする支援の範囲、ITベンダーや支援業者の動向などを調べようとしています。今後、政府は実証段階を行っている「標準型電子カルテ」の普及を図るための支援事業をこの事業の結果をもとに検討しようとしていることと思われます。

 4 調達方法として、一般競争入札を求めていること

 特別な事情がない限り、基本的に一般競争入札を求めています。公的な病院を主な補助金申請者として想定していると読み取れますが、民間の医療機関であっても一般競争入札を行うことはできますので、排除をしているわけではないようです。民間で慣れていない場合、それを行うためにも、コンサルを活用してその経費を補助経費に含められるように制度設計されています。医療機関のシステム関連経費の増大に対する問題意識の現れでもあります。

まとめ

 既に、令和8年度実施の補助金事業の応募受付は終わってしまっていますが、翌年度以降は「標準型電子カルテ」を対象として類似事業が行われる可能性もあります。今回の事業のように、非常に短期間(要領発出=令和8年3月11日→締め切り=令和8年4月30日)で申請締め切りとなる可能性もあるので、それに向けて早いうちから準備を行っていくのも一つの考え方です。

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