以前の記事では、デジタル化・AI導入補助金の制度概要や申請枠の種類についてお伝えしました。今回からは2回に分けて、「実際にどんなツールを導入できるのか」という点に絞ってご紹介します。補助金の活用を検討している方が「自社に使えるものがあるかどうか」をイメージできるよう、具体的なツールや活用シーンを交えながら解説していきます。今回は申請件数が最も多い通常枠にフォーカスします。
通常枠とは
通常枠は、業務のデジタル化・AI活用を目的としたソフトウェア全般が対象となる枠です。カバーする業務領域が非常に広く、多くの中小企業が何らかのツールを見つけられる枠といえます。
通常枠のツール例
会計・経理まわりを整えたい
クラウド会計ソフト(freee会計、マネーフォワードクラウド会計、弥生会計 オンラインなど)は、この枠で最も導入実績が多いカテゴリのひとつです。帳簿付けの自動化、銀行口座・クレジットカードとの連携による仕訳の省力化、決算書の自動生成などが実現します。経費精算ツール(楽楽精算、ジョブカン経費精算など)と組み合わせれば、経理担当者の月次業務を大幅に圧縮できます。
顧客管理・営業支援を強化したい
CRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援ツール)も通常枠の対象です。Salesforce、HubSpot、kintoneのような製品が代表例で、顧客情報の一元管理、商談進捗の可視化、メール・電話履歴の記録などが可能になります。「営業担当が変わると顧客情報が引き継がれない」「どの案件がどの段階にあるかわからない」といった課題を抱える企業に特に有効です。飲食・美容・医療などの業種では、予約管理システムやPOSレジとの連携ツールも対象に含まれます。
人事・勤怠・バックオフィスを効率化したい
勤怠管理システム(KING OF TIME、ジョブカン勤怠管理、マネーフォワードクラウド勤怠など)、給与計算ソフト、電子契約サービス(クラウドサイン、GMO電子印鑑Agreedなど)、ワークフローシステムなどもこの枠で導入可能です。紙の申請書や押印作業、タイムカードの手集計といったアナログ業務のデジタル化に直結します。
在庫・物流・生産管理を見直したい
在庫管理システム、受注管理ツール、物流管理ソフト、生産管理システムなど、サプライチェーンに関わるツール群も幅広く対象です。公式サイトの活用事例では、販売管理システムの導入によって出荷対応キャパシティが拡大し売上拡大につながった卸売業者の例や、クラウド型ホテル管理システムで複数拠点をリアルタイム管理できるようになった宿泊業者の例が紹介されています。
AI活用ツールも対象——2026年度から注目度が高まる領域
2026年度からの名称変更(「デジタル化・AI導入補助金」)が示す通り、AI機能を持つツールへの支援が強化されています。公式のITツール検索ではAI機能での絞り込みが可能になりました。対話型AIを活用した社内FAQボット、需要予測・在庫最適化AI、画像解析による製品検査ツール、AI搭載の文字起こし・議事録作成ツールなど、現場業務に直結するAIツールが補助対象として登録されています。「AIを使いたいが何から始めればよいかわからない」という企業にとって、補助金を入口として使うのは合理的な選択です。
通常枠のツールを探す方法
補助対象ツールは公式サイトのITツール検索(https://it-shien.smrj.go.jp/search/)から探せます。「要件/目的から探す」機能を使うと、業務プロセス別に絞り込めるため、自社の課題に近いカテゴリから候補を絞っていくのが効率的です。気になるツールが見つかったら、そのIT導入支援事業者に問い合わせて相談するのが最短ルートです。
次回はインボイス枠・セキュリティ対策推進枠で導入できるツールをご紹介します。
※補助対象ツールは時期により変動します。最新情報は公式のITツール検索でご確認ください。
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