労働者派遣事業許可について

 今回は、労働者の派遣を事業として行う際に必要な、「労働者派遣事業許可」の手続きについて、概要を説明します。

(参考)過去における労働者派遣事業の種類

 平成27年度の労働者派遣法改正まで、常時雇用者を派遣する「特定労働者派遣事業」と臨時雇用者を派遣する「一般労働者派遣事業」の2つの種類分けられており、前者については許可の不要な“届出制”とされていました。現在では、この区分が無くなり「労働者派遣事業」として一本化され、一律、“許可制”に移行しています。改正前の古い情報で書かれているウェブサイトも存在しますのでご注意ください。

「派遣」と「請負」について

 ある会社に人がきて、その会社の仕事を行う場合に「労働者の派遣」と「業務の請負契約」であるかが問題とされます。
 派遣と請負は、法的に明確に異なっており、法による労働者の保護、労働者を使用する組織の義務が大きく異なるためです。

  派遣・・・労働者派遣法等
  請負・・・民法

 派遣と請負の大きな違いは、「指揮命令系統」にあります。派遣先の社員等から直接指揮命令を受ける場合は「派遣」、請負った業務を達成するために請負元の指揮命令を受ける場合は「請負」となります。

許可要件(概要)

 適切に労働者派遣事業を行う能力があることを証明するため、次の条件を満たしたうえで申請を行う必要があります。ここに記載してあるものは概要であり、厚生労働省のウェブサイトに詳細は記載されています。これを満たしているとして申請を行った後に個別の審査があります。
 特に、平成27年改正では、労働者保護措置を強化しており、下記2の「派遣労働者へのキャリア支援」についてなどの条件が追加されました。

 1 派遣先に関する要件
   ・特定の派遣先のための事業でないこと(特定組織への専属ではない)

 2 派遣労働者のキャリア支援体制に関する要件
   ・条件を満たしたキャリア支援を実施すること
   ・有資格者によるキャリアコンサルティングの相談窓口を設けること など

 3 個人情報保護に関する要件
   ・個人情報を適正に管理するための事業運営体制が整備されていること

 4 適切に事業を行う能力に関する要件
 (1)財産に関する要件
   ・資産-負債の額(①)が2,000万円以上であること。
   ・①が負債の総額の7分の1以上であること。
   ・自己名義の現金・預金の額が1,500万円以上であること。
 (2)事業所に関する要件
   ・専用の事業所であること
   ・おおむね20㎡以上あること
 (3)人に関すること
   ・「派遣元責任者講習」を修了するなどの条件を満たした「派遣元責任者」を置くこと。
 (4)欠格事由に該当しないこと。

 5 労働安全衛生の管理に関する要件

 ※これらの他、「民営職業紹介事業と兼業する場合」、「海外派遣を予定する場合」にはこれらに応じた追加要件があります。

手続きについて

 1 必要な期間
  提出から概ね1~2か月とされていますが、許可要件4(3)に記載の「派遣元責任者講習」の受講に要する期間は別で必要です。
 2 必要な費用
  登録免許税[許可一件当たり9万円]+添付書類取得に係る費用等

まとめ

 労働者派遣事業許可は、派遣労働者保護の観点から平成27年に大きな法改正が行われており、より厳格かつ高いハードルが課され、申請が複雑で難しくなってきています。
 今後は、社会保険労務士を始めとした複数の専門家がチームを組んで許可の取得に当たることになりそうです。

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