前編では補助金の概要・対象経費・スケジュール・申請の流れをご紹介しました。
後編では補助上限を引き上げる2つの特例、採択のための審査ポイント、加点項目、よくある失敗と必要書類について解説します。
補助上限を引き上げる2つの特例
インボイス特例(+50万円)
免税事業者から適格請求書発行事業者(インボイス登録)に転換した事業者が対象です。2021年9月〜2023年9月の課税期間に一度でも免税事業者だった方、または2023年10月以降に創業した方で、補助事業終了時点でインボイス登録済みであれば適用されます。申請時に登録通知書の写しが必要です。
賃金引上げ特例(+150万円)
従業員の1人あたり給与支給総額を年平均3.0%以上引き上げることを約束する事業者が対象です。直近の課税所得がゼロ以下の赤字事業者は補助率がさらに2/3から3/4に引き上がります。実績報告時に賃金台帳の提出が必要で、目標未達の場合は補助金が交付されません。また未達のまま報告すると、その後18か月間は他の中小企業庁所管補助金の申請でも大幅減点となるため、無理のない目標設定が重要です。
採択されるための審査ポイント
審査は基礎審査・計画審査・加点審査の3段階です。
基礎審査は書類の不備や要件の確認で、運が良ければ要件を満たすように事務局から連絡が来る場合もあるようですが、ここで引っかかると基本的には失格です。
通過した申請は計画審査に進み、①自社の経営状況分析の妥当性、②経営方針・目標の適切性、③補助事業計画の有効性、④積算の透明性の4点で採点されます。
【第20回からの最重要ルール】売上・利益の増加目標が必須に
第20回から、「補助事業終了時と比較して、売上高・売上総利益が増加することが見込める事業であること」が必須要件となりました。
単に「販路を広げたい」と書くだけでなく、市場分析に基づいた「売上〇%増」などの客観的かつ定量的な成果目標を計画書に盛り込む必要があります。
「補助金を使って何かやりたい」ではなく、「この経営課題を解決するためにこの取り組みが必要だ」という論理的なストーリーが審査員に伝わる計画を作ることが求められています。
加点審査では、重点政策加点と政策加点からそれぞれ1種類、合計2種類まで選択できます。主な加点項目は以下のとおりです。
| 区分 | 主な加点項目 |
|---|---|
| 重点政策加点 | 赤字賃上げ、事業環境変化(物価高騰・関税影響)、くるみん・えるぼし認定、健康経営優良法人加点(新設) |
| 政策加点 | 賃金引上げ(2.0%以上)、地方創生型、事業承継、過疎地域、事業継続力強化計画、地域別最低賃金引上げ加点(新設) |
よくある失敗・注意点
① GビズIDの取得が間に合わない 電子申請に必須のアカウントで、取得に数週間かかる場合があります。申請を考えたらすぐに手続きを始めましょう。
② 事業支援計画書の発行が間に合わない 発行受付締切は申請締切(12月15日)より11日早い12月4日です。商工会・商工会議所での面談が必要なため、11月中には相談に行くことをお勧めします。
③ 交付決定前に発注・支払いをしてしまう 採択通知書が届いても、交付決定通知書が届くまで補助事業は開始できません。交付決定前の発注・契約・支払いはすべて補助対象外になります。
④ 対象外経費の計上 パソコン・タブレット・Wi-Fi機器・名刺・消耗品・人件費・通信費などは対象外です。公募要領で事前に確認しましょう。
申請に必要な主な書類
申請書・経営計画・補助事業計画(電子申請システムに直接入力)
事業支援計画書(商工会・商工会議所が発行)
貸借対照表・損益計算書(法人)/確定申告書一式(個人事業主)
インボイス特例希望者:登録通知書の写し
賃金引上げ特例希望者:誓約・同意書、赤字事業者は法人税申告書別表一・四
まとめ
持続化補助金(一般型 通常枠)は、チラシ・ホームページ・店舗改装・展示会出展など幅広い販路開拓をカバーできる使い勝手のよい補助金です。特例を活用すれば最大250万円まで補助上限が広がります。採択のカギは計画の質。商工会・商工会議所の担当者と一緒に、自社の経営を見つめ直した計画を練り上げてください。
次回は「小規模事業者持続化補助金<創業型>」を解説します。創業間もない方や独立・開業を考えている方はぜひご覧ください。
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