国と取引をしたい、官公庁の入札に参加したいと考えている企業・個人事業主が最初に直面するのが「全省庁統一資格」の取得です。この資格は、各省庁における物品の製造・販売等に係る一般競争(指名競争)入札に参加するために必要なものです。国、と言っても地方にある国の機関も含まれますので、東京地区を営業範囲としている企業のみではなく、どの地方でも取引するのに役立ちます。本記事では、この資格の概要から申請方法、審査の流れ、等級の仕組みまでわかりやすく解説します。
全省庁統一資格とは
全省庁統一資格とは、衆議院・参議院・最高裁判所をはじめ、内閣府・各省庁・防衛省など、国のほぼすべての調達機関で有効な入札参加資格です。「統一」という名のとおり、一度資格を得るだけで最大3年間の資格の有効期間内であれば複数の省庁に共通して有効になるのが大きな特徴です。
対象となる取引の種類は次の4つです。各種要項では「製造・販売等」などと書かれていますが、役務の提供等の業務委託も含まれます。
ただし、建設工事、測量・建設コンサルタント等業務、船舶類・船舶整備など、一部、この資格では対応できない調達があり、それらについては個別手続きが必要です。
物品の製造(印刷物、機器類の製造など)
物品の販売(事務用品、電子機器の販売など)
役務の提供等(ソフトウェア開発、清掃・警備、翻訳など)
物品の買受け(古紙・スクラップ類の買い取りなど)
申請方法
申請方法はインターネット申請と郵送・持参(紙面申請)の2種類があります。どちらも、調達ポータルサイト(政府電子調達システム GEPS)を入口として手続きを進めます。
申請にあたっての重要なルールは重複申請不可という点です。全省庁に共通して有効な資格であることから、受付・審査窓口はどこか各省庁の窓口1か所だけを選んで申請する必要があります。複数の窓口に同時申請することはできません。また、全省庁統一資格は、1つの法人・個人事業主に対して1資格が付与されます。そのため、支店や営業所が独立して申請することはできません。
主な申請書類(法人の場合)は以下のとおりです。
登記事項証明書(履歴事項全部証明書)の写し
納税証明書その2(法人)の写し ※令和7年1月6日から必須
納税証明書(その3の3)の写し
財務諸表(直前1年分)
個人事業主の場合は、登記事項証明書の代わりに開業届や確定申告書が必要となります。また、行政書士などの代理人が申請する場合は委任状も添付が必要です。
審査の流れ
申請書類を受付・審査窓口に提出すると、窓口にて内容の審査が行われます。その後、統一資格ヘルプデスク(全省庁統一資格審査事務処理センター)にて資格審査結果通知書の発行手続きが行われ、申請者の住所に郵送されます。
通常、窓口審査後にヘルプデスクへ書面が到着してから約1週間前後で通知書が発送されます。申請が集中した場合には、数か月かかる場合もあると明示されています。
現在の資格の有効期間は令和7・8・9年度の場合、令和10年3月31日までです。定期申請の受付は令和7年1月31日をもって終了しており、現在は随時審査の受付期間中です(令和10年3月10日まで)。
等級の仕組み
資格にはA・B・C・Dの4段階の等級があり、これによって参加できる入札案件の予定価格の範囲が異なります。たとえば「物品の販売・役務の提供等」の場合、A等級は予定価格3,000万円以上、D等級は300万円未満の案件が対象となります。
等級は以下の審査項目に対して数値(点数)を付与し、その合計点によって決まります。
物品の販売・役務の提供等・物品の買受の場合(合計最高100点)
| 審査項目 | 内容 |
|---|---|
| ①年間平均販売高前 | 2か年の平均実績高 |
| ②自己資本額の合計 | 貸借対照表の純資産合計 |
| ③流動比率 | 流動資産÷流動負債×100 |
| ④営業年数 | 創業・法人設立からの年数 |
物品の製造の場合は上記に加えて「⑤設備の額」(機械装置・運搬具・工具その他の合計)が審査対象となり、設備への投資規模も評価されます。
付与点数の合計が90点以上でA等級、80点以上でB等級、55点以上でC等級、それ未満がD等級となります(物品の製造の場合)。
まとめ
全省庁統一資格は、国との取引を希望する事業者にとって欠かせない基本資格です。申請は一度で複数省庁に有効となる効率的な仕組みである一方、書類の準備や等級の計算など、細かいルールが多いのも事実です。
申請前に調達ポータルサイトの最新の申請書記入要項を必ず確認し、余裕をもって手続きを進めることをおすすめします。
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