「中小企業が新しい事業に挑戦するときに使える補助金といえば事業再構築補助金」――そんなイメージをお持ちの方はまだ多いかもしれません。しかし、実はこの補助金、2025年3月をもって新規の募集を終了しています。
いまなお書店には書籍が並び、検索上位にも情報が上上がってくるため「まだあるもの」と思い込みやすいのですが、すでに過去の制度です。(「新たに申請できるもの」としての意味です。)
では、そもそも事業再構築補助金とはどんな制度で、なぜ終わったのか。そして次に代わった制度はあるのか、順を追って整理してみましょう。(新規申請の終わっている制度なので、時間に余裕のある方のみどうぞ)
コロナ禍で生まれた「前例のない規模」の補助金
事業再構築補助金は、2021年3月に第1回公募がスタートしました。新型コロナウイルス感染症の影響で売上が落ち込んだ中小企業等が、思い切った事業転換・新分野展開に挑戦する際の投資を国が支援する、という趣旨の制度です。
第1回公募には全国から約2万2,000件の申請が集まり、約8,000件が採択。採択率は約36%でした。その後も年に3〜4回のペースで公募が繰り返され、最終的に第13回まで実施され、まさにコロナ禍を象徴する制度となりました。
どんな事業者が対象で、何に使えたのか
対象は中小企業・中堅企業等で、申請にあたっては「事業再構築指針」が定める6つの類型のいずれかに該当する事業計画を策定する必要がありました。
新市場進出(新分野展開・業態転換)、事業転換、業種転換、事業再編、国内回帰、地域サプライチェーン維持・強靱化
補助対象経費は、建物費・機械装置費・システム構築費など幅広く、補助上限は最大で1億円超(事業類型・従業員規模による)、補助率は中小企業で1/2〜3/4という水準でした。従業員の人件費や汎用品(パソコン等)は対象外でしたが、新事業のための設備投資をこれほど大規模に賄える補助金は、それまで存在しませんでした。
制度は回を重ねるごとに「絞り込まれて」いった
スタート当初は「コロナで売上が30%以上減った事業者」という要件が前提でしたが、コロナ禍の終息とともに要件は段階的に見直されました。後半の公募では「ポストコロナに対応した成長分野への進出」や「最低賃金引上げの影響を受ける事業者支援」へと軸足が移り、名称も事業類型も大きく変化しています。
第13回(最終回)の公募では、「成長分野進出枠(通常類型・GX進出類型)」と「コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)」の2枠に整理されました。申請には、高い目標を事業計画に盛り込む(=達成しなくてはならない)ことが求められ、採択のハードルは初期に比べてかなり高くなっていました。
また、第13回では事前着手制度が廃止され、交付決定前に発注・購入した経費は一切補助対象外となるなど、運用ルールも厳格化されています。最終回の採択件数は1,101件と、ピーク時(第2回:約9,300件)と比べると大幅に絞り込まれた形で幕を閉じました。
後継制度の始動
事業再構築補助金の終了に合わせるように、2025年度から「中小企業新事業進出補助金」がスタートしています。第1回公募が2025年6月に申請受付を開始し、現在は第3回公募(2025年12月〜2026年3月)まで進んでいます。
事業再構築補助金の「後継」と位置づけられています。制度の詳細については、別の記事で取り扱う予定です。
まとめ:「事業再構築補助金」を調べている方へ
もし「事業再構築補助金に申請したい」と思って情報を集めている方がいれば、残念ながら新規申請はすでに終了しています。2025年3月の第13回公募をもって、制度としての役割を終えました。
ただし、その精神は「中小企業新事業進出補助金」に引き継がれています。新しい事業に挑戦したい、設備投資を検討している、という方は、ぜひこちらの制度を確認してみてください。
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